遺言書とはどんなものなのか、基礎知識から留意点、一連の流れをご説明いたします。
遺言書作成入門
遺産相続においてもっともトラブルが多いのが遺産分割に関する事です。
遺言が無い場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い遺産を分割しますが、この分割協議がうまくまとまるかどうかは、実際に話し合ってみないとわかりません。もともと仲が良くなかった場合のみならず、仲が良かった場合にも相続をきっかけに骨肉の争いになってしまうということもめずらしくありません。
こういったトラブルを未然に防ぐためにも有効なのが「遺言」です。
また、生前にお世話になった特定の方に相続させたいなど、自分の意思を伝えるための手段でもあります。
遺言書なら自分の財産をどう分けて、誰に相続させるのかを具体的に指定できます。何事にも備えあれば憂いなし、事前の準備が大切です。
また、遺言の内容を実現してもらうためには、誰が見てもその内容がはっきりと分かる遺言書を作らなければなりません。そこで、法律は遺言書を作る上でのさまざまなルールを定めています。
では、遺言書とはどんなものなのか、基礎知識から留意点、一連の流れをご説明いたしますので、ご参考にして下さい。
こんな時には遺言を検討を
内縁関係の伴侶に財産を残してあげたい
自分の死後は財産を社会の役に立てたいと思っている
生前は自分の面倒をよくみてくれた息子に多くの相続をさせたい
相続人のなかで相続させたくない人がいる
相続人以外の人に財産を譲りたいと思っている
障害者の子供がいるが、自分の死後も子供が安心して生活を送るために後見人を決めたい
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。
遺言とは何か
誰でも自分の財産は自由に売ったり、買ったりまたは誰かに譲ったりすることは自由にできます。毎月の給料で車を買ったり、貯蓄などを行うのに法律上は誰かの許可を得る必要はありません。つまり自分自身の財産をどのように処分するかは、自分自身で決めて良いのです。
このことは遺産についても同じことが言えます。ですから、自分の死後に、自分の財産をどのように処分するかを、あらかじめ決めておいても良いのです。
このように、自分の死後に、自分の財産をどのように処分してほしいのかを遺すことを「遺言」といいます。つまり遺言とは自分の財産処分についての最終の意思表示ということになります。この意思表示を記した書面を「遺言書」というのです。
遺言書と遺書との違いは?
「遺言書」と「遺書」とを同じものだと思いがちですが、実際はまったく違うものです。
遺書とは、「私が死んだら、あの家で親子仲良く暮らしてほしい」とか「自分の死後は、飼い犬のポチを大事に可愛がってほしい」などの、残された家族へ自分の思いを伝えるものです。
ですから、遺書には何を書いてもよく、内容も形式なども自由ですし、必ず書面にしなければならないわけでもありません。
ところが、遺言書は遺書のような単なるメッセージではなく、自分の死後の財産処分に関する意思表示を実現してもらうために作るものです。ですから、誰が見ても内容がはっきりとわかるように法律によりさまざまなルールが規定されています。
遺言をすることができる者
遺言は誰もがすることができるわけではありません。
遺言をするには成年に達している必要はありませんが、15歳未満の者は遺言をすることができません。
また物事に対する一応の判断能力を持った者でなければなりません。例えば認知症の方など本人の意思がはっきりとしていない場合などは遺言をすることはできません。
【遺言をすることができる者】は「満15歳以上の遺言をする能力がある者」ということになります。
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。
遺言の種類
遺言には特別な状況下にある者がする遺言を除いて、3種類の方法があります。
自筆証書遺言 » 遺言の内容を遺言者が全て自書する遺言
公正証書遺言 » 公証人へ遺言内容を伝え、公証人が遺言書を作成する
秘密証書遺言 » 遺言者自身が遺言書を作成し、封印した封筒を公証人へ渡す
遺言には以上の種類がありますが、いずれの方式にも一長一短がありますので、状況に応じた方式を選択して下さい。一般的には「公正証書遺言」を選択するケースが多いようです。
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。
それぞれの遺言方式の相違点
長所 | 短所 | |
---|---|---|
自筆証書遺言 | ●簡単に作成できる ●費用がかからない ●遺言書の内容を秘密にできる | ●要式不備によって、無効になる可能性がある ●遺言書が発見されなかったり、紛失の恐れがある ●遺言書が破棄、変造、偽造される恐れがある ●遺言書の検認手続きが必要となる |
公正証書遺言 | ●遺言書の紛失、破棄、変造の恐れが少ない ●法律上有効な遺言を作成できる ●遺言の検認手続きが不要 | ●2名以上の証人が必要となる ●遺言書の作成に費用がかかる |
秘密証書遺言 | ●遺言の内容を秘密にしておける ●遺言書の存在を明確にできる | ●要式不備によって、無効になる可能性がある ●遺言書が発見されなかったり、紛失の恐れがある ●2名以上の証人が必要となる ●作成に費用がかかる ●遺言書の検認手続きが必要となる |
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、遺言書作成のアドバイスまたは起案、公正証書遺言作成に関するその他サポートをいたします。まずは お気軽にご相談下さい。
遺言書作成の留意点
記載事項は正確に書きましょう
まず注意したい事は、記載事項を正確に書くということです。特に
相続人の氏名と生年月日
相続させる財産の種類
※例えば「家と土地は長男に譲る」などのあいまいな記載では無効になることがあります。
遺言書は公正証書で
遺言書には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があることはご説明しましたが、紛失、盗難、改ざんの危険性が少ない「公正証書遺言」で作成するようにお勧めします。
公証人の手数料等の費用がかかりますが、上記のような心配はありません。公正証書遺言の一部は公証役場に保管されます。
遺留分を考慮しましょう
「遺留分」とは、一定の相続人に最低限確保されている相続割合のことで、遺言をする人にとって唯一の制約です。
せっかく遺した遺言書も、遺留分を考慮しなかったために、相続分を侵害された相続人より遺留分減殺請求を家庭裁判所に請求されたら、侵害された部分を返す必要が出てきますので、それを侵さない程度に相続分を考えましょう。
遺留分とは何か
「遺留分」とは、一定の相続人に最低限確保されている相続割合のことで、遺言によっても害することのできない唯一の制約です。
遺留分がある相続人
遺留分は全ての相続人に認められているわけではなく、相続人により遺留分も異なります。
遺留分が認められる相続人は(1)配偶者、(2)第1順位の相続人である子、(3)第2順位の相続人である親に限られます。第3順位の兄弟姉妹には、遺留分はありません。また、遺留分を持つ相続人であっても、「相続排除」や「相続欠格」、「相続放棄」など相続人でなくなった場合は、遺留分も失うことになります。
(1)第2順位の相続人である親のみが相続人の場合 | 遺産の3分の1 |
(2)相続人が(1)以外の場合 | 遺産の2分の1 |
遺留分を持つ相続人が複数いる場合は、それぞれの遺留分は、全体の遺留分に各相続人の法定相続分の割合をかけたものとなります。
例えば被相続人が配偶者と子供を2人残して亡くなった場合
配偶者の遺留分→全財産の1/2×1/2=1/4
子供それぞれの遺留分→全財産の1/2×1/2×1/2=1/8
の遺留分を持つことになります。
遺言執行者の指定
せっかく書いた遺言も、その内容が自分の死後に実現されなければ意味がありません。遺言執行者を遺言により指定することで、相続が開始したときの手続きをスムーズに行うことができます。
また手続きをスムーズに行うためには法律や財産管理等の知識をある程度持っている者を選んだ方が良いでしょう。
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。
遺言によって何ができるのか
遺言は、「自分の死後の財産処分に関する最終の意思表示」であることは基本ですが、遺言でできることは財産処分にかんすることだけではありません。
法定された遺言事項は10種類程度ありますが、基本的な事項としては次の4つがあります。
遺言をする上での基本的な事項
遺産の処分に関すること
相続人の廃除
遺産分割の禁止
遺言執行者の指定
遺産の処分に関すること
結論から言いますと「財産を残す対象は誰でも良い」です。
相続人はもちろんですが、それ以外の者や、会社、その他団体でもOKです。
例えば、生前自分が大変お世話になった隣のおばさんや、自分の母校であるとか、ボランティア団体などです。極端な話をすれば、一度も会ったことのない人に譲ることもできます。
そして財産をもらう方の承諾を得る必要がないということも特徴です。ただ財産をもらう方は、もらう事を拒否することもできます。
次に「財産の残し方を自由に決めることができる」です。
例えば家は長男、株は長女、預貯金は配偶者などと個別に指定することもできますし、家は配偶者だから残りの預貯金は長男と長女で半分づつなどの、割合を指定することもできます。
また、全ての財産の処分方法を遺言で決める必要はなく、財産の一部だけでもOKです。
ただ、遺留分には十分留意して遺言をすることが大事です。
相続人の排除
相続人の排除は、被相続人自らが家庭裁判所に手続きを行う方法と、遺言によって行う方法とがあります。
遺言による場合は、「遺言執行者」が家庭裁判所へ手続きを行うことになります。
遺産分割の禁止
遺言によって「相続開始のときから5年を超えない期間で遺産分割を禁止する」ことができます。
例えば、相続人間でモメ事が予想されるような場合は、しばらく間をおいて冷静になってもらうための期間として分割を禁止するような事が考えられます。
遺言執行者の指定
せっかく書いた遺言も、その内容が自分の死後に実現されなければ意味がありません。遺言執行者を遺言により指定することで、相続が開始したときの手続きをスムーズに行うことができます。
また手続きをスムーズに行うためには法律や財産管理等の知識をある程度持っている者を選んだ方が良いでしょう。(ケースにより異なりますが例えば弁護士や行政書士など)
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。
遺言手続きの流れ
※「検認」とは
公正証書遺言以外の遺言は、遺言書の変造、偽造を避けるために、遺言の執行前に、家庭裁判所の「検認」を受けなければならない。
(遺言者の最後の住所を管轄する家庭裁判所へ)
長崎 遺言・相続手続きセンターでは、相続が発生した際に行わなければならない手続き(戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産・動産等の名義変更等)をまとめてお手伝いする体制を整えております。相続手続きについて専門家に手続きを依頼したいと考えている方、また遺言書について一度相談したいとお考えの方は お気軽にご相談ください。